
細菌の生理活性を理解することは医学や農業、環境などにおける多くの細菌研究において重要な役割を担う知見となります。細菌の生理活性の一つであるバイオフィルムに関してその生理活性を明らかにすることは、抗バイオフィルム剤などの開発やバイオフィルム感染症の治療法開発に役立ちます。一部の細菌は、自己防御の一形態としてバイオフィルムを形成し、細菌にとって不利な環境下でも生存できる抵抗性を備え、それが薬剤耐性菌の出現に繋がります。このことから、バイオフィルム形成細菌の生理活性を評価することは重要な課題となっています。
バイオフィルム形成メカニズムの解明とバイオフィルム形成を阻害する物質の探索を行うためには、抗菌活性と抗バイオフィルム活性を区別して評価することが重要です。 それらを区別せずにすべての感受性細菌に対して殺菌効果を示さない濃度で抗菌化合物を使用すると、耐性菌の出現につながってしまいます。
本アプリケーションノートでは、マルチモードプレートリーダーSparkを使用して96ウェルマイクロプレート内の S. InfantisにおけるOD600 増殖曲線を20時間かけて生成するSIMBA(抗菌活性と抗バイオフィルム活性の同時検出 )メソッドについて紹介しており、バイオフィルム形成細菌における生理活性を評価する重要な課題の解決に役立ちます。
このような方にお勧め
- 薬剤耐性株に対する抗生物質の研究を行っている方
- バイオフィルム感染症に関する研究を行っている方
- ゲノム編集により標的遺伝子を改変した大腸菌の増殖をモニタリングしたい方
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